地の上/旗の元/風を読む
“On the Ground – Under the Bunting – Reading the wind”
“Art Meeting 2014” (2.Aug. – 24.Aug. )
Title: “On the Ground – Under the Bunting – Reading the wind”
「ARTMEETING 2014 – 田人の森に遊ぶ」(2014.8/2~8/24 田人町 福島)での発表作品
タイトル:『地の上/旗の元/風を読む 』
児童用の机・椅子、万国旗、その他
インスタレーション: 田人第二小学校 校庭
パフォーマンス(8/2):南大平分校 校庭
この作品では、地元に住まう人々に向けて作ることを強く意識した。被災地では、他所から来たアーティストが、実は目の前にいる人々よりも、東京とか他の方ばかりに顔を向けて発信しているのではないか、と疑われかねない活動が少なからずあるようだ。福島第一原発から南西に60余Kmほどのこの地で、今回そんな作り方は避けたかった。だから、地元の人々に向けたメッセージ性が色濃い内容となった。それが実際に成功しているかどうか、まだよくわからない。もちろん、他の観客の方々を排除しているわけでもない。
私のインスタレーションがある田人二小は、貝泊小・中学校とともに、児童数の減少に伴い、今春廃校になったばかりという。その児童用の机と椅子一組を使わせていただいた。構想のきっかけは、データが確認できる昭和28年度から今年3月までの61年間で、この地区全域の小学校を卒業した児童数(私の推計でおよそ4731名)の推移だった。コンセプトの詳細について、ここでは記さない。できれば実際にご覧になり、それぞれで感じたことを大切にしていただきたい。現場に至るまでの時間、空気、暑さ、風、蝉時雨…、様々な気配とともにこの作品はあるのだから。
補注:
各所に設置されているモニタリングポスト(リアルタイム線量計)が、一部の画像に写っている。この地区は、ばらつきはあるものの平均的にこの位の数値が表示される。もっと高い所も低い所もある。このような所で人々を招く美術展を行なうことに賛否両論があることは認識しながら、企画側も参加作家も、それを前提として作品を展示している。(…と思う。)
今後、現地に見に行くつもりの方は、一応それを承知の上、各自で判断してお越しいただきたい。過疎化と汚染のダプルパンチで複雑な状況におかれている地元の方々にとっては、多くの観客に作品とともに現状をじかに来て見て欲しいと願っておられるようだ。ここにも他と同じように、日常生活を変わらずたくましく続けている方々が当たり前のようにいる。里山・奥山の自然のもとで「森に遊ぶ」という素朴なテーマと、うらはらの際どい現実を抱えたこの「Art Meeting」の真の意義はこの辺りにあると、私自身は捉えている。様々なミーティング(出会い)の機会が、この展覧会によって提供されることを期待したい。とはいえ、本当は日本はどこでも似たような状況を抱えているはずなのだが。
私のインスタレーション作品、もう一つの注意:
山間部の天気は変わりやすい。積乱雲が発生し空模様の急変化が予想される時、あるいは豪雨の前後には、仮に晴れていても、くれぐれも近寄らないようにご注意を。10mのステンレスポールが立っているので、落雷の恐れがないとはいえない。でも、ぜひ他の作品共々、注意して安全にご覧になっていただきたい。
(Facebook 投稿より)