2008-11-12
空間の振動感
私にとって、極上の「絵画体験」の一つの要素である。
いまだにこれを感受しえた絵画は数少ない。西洋絵画ではレオナルド・ダ・ビンチ、カラヴァッジオ、セザンヌ、マティス、モネ、モランディ、ジャコメッティー、F・ベーコン、M・ロスコ、そしてフェルメールくらいか。それもその画家の作品中の限られた1点だ。
私がここでいう空間とは、あくまで絵画空間総体のこと。これは当然、マティスのような平面的な絵にも、ロスコのような抽象絵画にも存在する。それは、色、形、マチエールなどの絵画的要素、あるいは展示されている周囲の空間の特性までも関係しながら、あたかも化学反応を起こすように生成する空間なのだ。さらに、そこに心理的空間も加わることもある。
空間が振動する。あるいは、振動する空間。
これをさらに敷衍して言えば、絵画に限らず、いや美術を超えて、非常に現代的な「存在意義=生命観」にもつながっていく問題になるだろう。世界を知覚するという事自体が、振動とか震え、そして共振現象を誘発する出来事なのだから。
(旧サイトの「活動記録」より一部抜粋して転載)
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